株式会社OBIETTIVO(オビエッティーヴォ)。
東京、神奈川で、それぞれ個性的なコンセプトをもったイタリア料理店6店舗を経営する会社です。
そのOBIETTIVOの4号店となるのが、池上線五反田高架下にある「Peri Peri(ペーリペーリ)」です。
イタリア語で「目的なくぶらぶらする」という意味を持つ同店が打ち出すのは、シチリアB級グルメ。社長の馬場圭太郎さんいわく「活気のある日常の溜まり場」です。
ショーケースに並ぶ食材はすぐ横の対面式グリルで調理する。食欲を誘う演出に加え、外から見えるウォークインワインセラーに、タイル、フローリング、レンガといった多彩な素材使い、鮮やかな色彩と、賑わいのある店にデザインしています。
オープンから2年ちょっと、コロナで揺られた2020年6月、オーナーの馬場さんにお話を伺ってきました。
(2020年6月22日 取材)
— 「Peri Peri」とはどんなお店なのでしょうか?
シチリアの市場にあるようなお店を表現したくて始めたんですね。市場といえばいろんな食材が並んでて、活気があって、楽しいじゃないですか。でもそういうイタリアンのお店って意外と日本にないですからね。
— 店頭に置かれた野菜、あれは実際に販売されているんですね?
売ってます。今日は野菜ですね。ほかにも毎週水曜日は魚の日で、魚を売ったりとか。
基本的にはシチリアのB級グルメを謳ってまして、ストリートフードですね。イタリアの普通の人が日常的に食べてる料理をやろうと。
— 五反田っていう場所を選んだのもそういう理由からですか? この場所、市場の雰囲気と合ってますよね。
ガード下っていうのもありますしね。
— 先にお店のコンセプトがあったのか、この場所があったからそういうお店のコンセプトにしたのか?
ここがあって、店のコンセプトを決めました。
— 場所に合わせたんですね?
はい。ガード下で電車の音がガタガタ聞こえる、イタリアの居酒屋みたいな感じでね。
— 馬場さんはほかにも何店舗か経営されていますよね。
そうです。全部ちがうコンセプトでやってまして。
Peri Periは4店舗目なんですけど、1店舗目(渋谷の「タロス」)はサルデーニャ料理で、
2番目(葉山の「ソリス」)はちょっとアッパークラスのリストランテですね。
3番目(不動前の「ティスカリ」)がイタリアの羊料理の店。
4番目がここで、5番目(逗子の「マレスコ」)はイタリアの魚介料理。で、6番目(渋谷の「ケスタ」)がワインバーですね。
— 面白いですね。立地場所とコンセプトがすごく明確に結びついてますね。ちなみに馬場さんは料理人からこの飲食業の世界へと入られた方ですか?
そうです。調理師学校を卒業してそのあと、都内の何軒かで働いてたんですけど。
最初の3年間は、夏は料理して冬はスキー場でスキーのインストラクターをして。まあ若い頃ってたいていそうだと思うんですけど、その頃はまだふらふらしてましたね。
そのうちスキーじゃ食っていけないってことがわかって。じゃあ真面目に料理一本に絞ろうってなって。
それで22歳の春にイタリアに行ったんです。イタリアでは5年ほど修行して、それから帰国しまして、とにかく20代のうちにシェフになろうって思ってやりました。
それで帰国後はいろんな店を何軒か渡り歩いてシェフとしての実力を磨いていって、36歳のときに渋谷で一号店(「タロス」)を開いた。そんな流れですね。
— そしてこの「Peri Peri」は4店舗目。このお店の内装を山翠舎に頼むに至ったのには、どういった経緯があったんですか?
知り合いの紹介で。
ただ自分ではどういう会社かわからなかったので、ホームページを調べて見てみまして。そしたら古木を売りにしている会社で。
僕自身がもともと古民家とか古木に興味があったんですが、施工事例を見たら素敵なお店を作っていて、じゃあここにお願いしようと。
— 内装で特にこだわったポイントはありますか?
全体的な色の調和ですね。打ち合わせの時にイタリアの市場の写真をお見せしたんですけど、キッチンの青の色とか、奥の壁の赤い微妙な色合いとか、かなり高い再現性で具現化してくれました。
床も六角形のタイルに合わせて調整してもらったりと大変なお願いをしたんですけど、柔軟にやっていただきまして。
あとは古木の梁ですよね。それと柱。いい味を醸し出してくれて。
古木ってやったことがなかったんですけど、いいですね。重厚感が出ますよね。目に見えない重さというか。
— 会社として、お店として、これからどう展開していきたいですか?
会社としては、基本的にみんな一生この会社にいるわけじゃないので、ここにいる間にどういうスキルアップしたいのか? そのお手伝い。
— 人材育成ですね。
そう、人材育成です。
僕自身がかつていろんなお店を渡り歩いてスキルアップさせてもらったので、今度は自分がそういう機会を提供していく。
「自分の人生を自分自身で決めれるような人」を育てたいっていうことです。
そして、そういう影響を受けた人たちが違う会社に行った時、またそこで周囲の人たちに対して影響力を発揮してくれること。そういうなかでいずれ経営者になったり、自分の店をやったりすることがあると思うんです。
それが大きく見たときに、世の中の底上げになっている。
そういう役割でいたいなと思っています。
— いい話ですね。今日はありがとうございました。