東京スカイツリーの南、四ツ目通り沿いに2025年1月、3階建ての「HOTEL MON 東京」がオープンしました。最大14人が宿泊できる一棟貸しのスタイル。ターゲットは海外からのツーリストです。

仕掛けるのは、錦糸町の不動産会社、株式会社Hudousun。実は同じ「HOTEL MON 東京」の名で、今回が2軒目のオープンとなります。

インバウンド需要を取り込むため、どんな視点をこのホテルに取り入れているのか? 現場を訪ね、同社の坂本佳奈さんにお話を伺ってきました。

 

(2025年2月27日 取材)


 

そもそも今回は、最初から旅館業として運営していく目的で物件を購入して、始めてるんです。

 

  

はい、そうです。

 

 

宿泊施設なので立地優先になるんです。「このエリアで出てきたらいいな」って思ってたところに、この物件がドンピシャで現れたんです。

 

 

そうです。もう一軒の宿も同じ墨田区で、スカイツリーと浅草の近く。海外の人からすると観光地としてはかなり強いエリアなので。

あと旅館業の申請をするにしても、自治体によって申請の仕方がまったく違うんです。例えば、台東区や大田区だと条件が厳しくなる。

なので、観光地としても強いエリアで、かつ、やり慣れている墨田区内だといいなと。それでこのあたりで物件を探してたら、ここと巡り会ったんです。

 

 

このすぐ近く、(東京都墨田区の)本所です。ここから歩いて10分ぐらいのところです。

 

 

やってみたら賃貸物件にするより、ぜんぜん利益が出たんです。

 

はい。(旅館業営業の)許可が下りたのが1月8日で、そこからリスティング広告を打って、1月22日に最初のお客さんが入って運営がスタートしたっていう感じです。

 

 

そうなんです。長いですね。上限が14人。一棟丸ごと貸し切りなので、

 

 

おっしゃる通りで。

私、「最大で14人泊まれる」って最初聞いた時、正直「14人の旅行客? そんな人たちいるの?」って思っちゃったんですよ。「この宿にそんな需要あるのかな?」って。日本だと、団体ツアーじゃないとその人数にはならないですから。

 

 

そう思ってたんですけど、蓋を開けたら、10人以上の団体客の予約が普通に入るんです。

会社はそれを見越してそう設計したんでしょうけど、私個人にとっては発見でした。こんなふうにビジネスのポイントはあるんだって思いました。

 

 

14人だと絶対別々の部屋になりますよね。社員の私には若干の心配がありましたけど、ビジネスとしてそのニッチなところを作っていくことに、森田(※Hudousun社長の森田大翔さん)の嗅覚があったんです。

 

 

今の時期は旧正月なので中国の方ばかりですけど、通年ですと結構、いろいろですね。英語圏の方が多いですかね。

 

 

そうですね。今回の物件は特に和のテイストを重視して作りました。一軒目の時は、海外の人をメインターゲットにするとはいえ、日本人の利用者も一定数いるだろうと思って作ったんです。でも蓋を開けたら年に1、2回というレベルで、ほとんどいなかったんです。なので今回は完全に”ジャパン”に振り切ってます。

 

そうです。例えば、「日本っぽい家」にっていうので、デザイン的な面でいうと格子を取り入れたり。

でも一方で「畳に布団」みたいな、典型的な和のイメージで作っているかというと、そうはしてないんです。海外の方たちは布団に寝るっていう文化がないので、あくまで彼らが生活しやすいように寝室にはベッドを置いてますし、お風呂も浴槽には入らない方が多いので、シャワー室にしてます。

 

あとこだわったところでいうと1階ですね。ホテルに入った時のインパクトが欲しかったので、1階はちょっと力を入れました。

 

 

はい、絵はインバウンドを意識したテイストにしてます。ほかにも1階は匂いが出るようにしているんです。ディフューザーを設置して、時間設定で匂いが出てくるようになってます。

 

外観がいいなあと。特に夜の外観が好きですね。

やっぱりホテルって、入っていく瞬間にワクワクできるかどうかって大切じゃないですか。「今日はここに泊まってるんだ」っていう、ちょっと優越感も感じさせてくれる、そんな外観。そして中に入ったときの最初の感じも好きですね。

 

また一軒、ホテルを作ろうと動いているところです。

うちの会社は前々からホテル業という分野に興味があって、いずれは別荘をやろうという構想があるんです。そこで得られる体験が価値になるような、体験型別荘をやりたいと思ってるんです。実はその入り口段階として今、民泊をやっているんです。